nijiken

ロックバンドRainbowを研究するブログとしてスタートしましたが、幅広い話題を取り上げたいと考え、ブログタイトルを変更しました。

RISINGアルバムレビュー

RISING
1976年5月発売
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Ronnie James Dio(vo) Ritchie Blackmore(gt)

Tony Carey(key) Jimmy Bain(b)

Cozy Powell(ds)

Produced By Martin Birch


1.Talot Woman
2.Run With The Wolf
3.Starstruck
4.Do You Close Your Eyes
5.Stargazer
6.A Light In Black

 


RAINBOWの全作品の中で最も人気のあるアルバムでしょう。
音の充実振りは凄まじいの一言です。リッチーが作ってきたそれまでの音楽はいい意味で型にハマった作りのものが多かったですが、このアルバムは自由さを感じます。
第2期RAINBOWのメンバーがこのタイミングで揃ったからこそ作れたアルバムであり、時代が作らせた名盤と言えます。

このアルバムの主役はコージー・パウエルでしょう。ドラムだけ聞いていても充分楽しめるアルバムです。
リッチーのギターフレーズも負けじと素晴らしく、トレブリーかつ程よく歪ませたストラトサウンドは過去最高のサウンドですし、フレーズは3期パープルをさらにエキセントリックに尖らしたプレイとなっています。

また、当時は叩かれる事も多かったトニーのキーボードも素晴らしく、1、6でのソロはアルバム全体を通した聴かせどころの一つです。

1.Talot Woman
トニーの素晴らしいソロから始まり、リッチーとジミーがフェイド・イン、そしてコージーのフィル・インが被さるという構成は、リッチーのソロアルバムといえた前作とは異なり、バンドとして再スタートするにあたっての意気込みを感じさせます。
特にコージーのプレイのインパクトは凄まじく、コージー印のフィル・インが随所に炸裂しています。
リッチーのギターソロはパープル時代と異なり、ラン奏法に独特のリズム解釈を行っておりまして、破綻の一歩手前でうまく踏みとどまってるといった感触で非常にスリリングです。

2.Run With The Wolf
ロニーのポップ・センスが光る曲です。
シンコペーションを多用したキメはコージーの得意とするところですが、ここでもダイナミックに決めています。
ところで、この曲はエンディングで突然リズムがシャッフルに変わるのですが、そこで聴けるギター・ソロはまさに「Child in Time」なので要チェックです。

3.Starstruck
久方ぶりのシャッフルですね。DEEP PURPLEの「LIVE IN JAPAN」収録の7曲中、3曲(LAZY、CHILD IN TIME、STRANGE KIND OF WOMAN)がシャッフルだった為か、リッチーはシャッフルが得意なイメージがあったのですが、RAINBOWではこの曲と「LONGLIVE ROCK`N ROLL」、「DIFFICULT TO CURE」ぐらいしかありません。(再結成DEEP PURPLE以降はシャッフル曲が増えていますが、名曲といえるものはないですね)コージーはシャッフル曲も得意としているので、ド派手なドラムは聴きどころです。
ギターソロにはボトルネックを用いていますが、リアピックアップを使用している為ワイルドでGOOD!

4.Do You Close Your Eyes
メジャーコード一本槍な古典的ロックンロールナンバーです。後期の「POWER」にも似ているキャッチーな曲で、1975年のLIVEではオープニングで演奏されています。1976年にはギター壊しの曲としてアンコールに演奏されています。どちらのバージョンもかなり長いソロタイムが設けられています。

5.Stargazer
RAINBOWで最も人気のある曲のひとつでしょう。 過去にリッチーは、あまりに退屈との事で気にいっていない、とコメントしていました。しかし、近年再結成コンサートでは確実にSETに入れており、歳とともに好きになったのかもしれません。
ギター、ボーカル、ドラム、ベース、キーボード、全て素晴らしい演奏です。
コージーの好きだった曲として有名ですが、その通りオープニングのドラムソロから100%のコージー・パウエルを聴くことができます。
SOLOはほぼワンコード、フリージアン・スケールで展開されています。第三期DEEP PURPLEのLIVEでは多用されていたので、この時期気に入っていたスケールなのではないでしょうか?
 余談ですが、この曲は3代voのバージョンがあり、Cメロのバックで流れるストリングスのフレーズを、ロニー時代:Key グラハム時代:gt ジョー時代:女性コーラス で置き換えており、それぞれ聞き比べすると面白いです。(個人的にはグラハム時代を推す)
●ロニー・バージョン
トニー・カレイのキーボードソロから幕をあける所は先日ブートでリリースされた「Rough Mix」と同じですが、コージーのドラムソロはありません。
サビは、スタジオ・バージョンではストリングスによる裏メロが効果的でしたが、この頃はトニーがこのフレーズを弾いている時が多かったようです。(日によってはギター短音プレイ)
ともかく、全体的にスタジオ・バージョンのスケール感を再現出来ているとは言えず、1977年から「Long Live Rock`n`Roll」に差し替えられているのもやむを得ないかもしれません。
●グラハム・バージョン
1977年から封印されていたこの曲は、1980年に突然復活します。コージー脱退に対するリッチーからの餞別だったのでしょうか?ともかくドニントンの直前からプレイされています。(グラハムはこの曲の歌詞が中々覚えられず、ドニントンの前日に至っても未だ覚え切れていない所をブートで露呈しています。)
ドニントン本番では「Since You Been Gone」からのメドレーで演奏されており、コージーがこの曲のキメを叩いた瞬間の観衆の熱狂度は凄まじいものがあります。
全体的にドン・エイリーのキーボードが大活躍しており、この曲の持つスケール感を見事に再現しています。
サビの裏メロはリッチーが短音で弾いています。
●ジョー・バージョン
1983年に「Stranded」の導入部でワン・コーラスのみ演奏されていました。ジョーにはちょっとキーが高かったようで、かなりラフな歌唱となっています。
サビの裏メロは女性バックコーラスが担当しています。

6.A Light In Black
しかし、この緊張感は凄い。鬼気迫るとはこういう事を言うんでしょう。
冷静にみれば、リフは適当かつ歌メロも一本調子で、このときの5人のメンバーだったからこそ名曲になったのではと考えています。 
特にキーボードソロは音色・フレーズ・構成、全て素晴らしい演奏です。
有名な逸話として、キーボードソロをトニー・カレイが上手く弾けず、スタジオ・ミュージシャンに弾かせたという話があります。私はこの話には懐疑的です。LIVEでのトニーのプレイからして、これくらいのソロをこなす力量はありそうなんですがね…
LIVEでは1975年・76年にプレイされていました。(76年はギター壊しのある日は「Do You Close Your Eyes」をチョイス)
1975年には本編中に「Stargazer」に続けて演奏されていました。この頃は楽曲が完成していなかったようで、歌詞や歌メロが微妙に異なります。
アレンジはスタジオバージョンとほぼ同じながら、ブレイクをはさみながら弾きまくるワンコードでのギタープレイは圧巻です。全体的にやっぱりこの時のメンツは凄かったと思わずにいられない勢いのある演奏となっています。
グラハム時代のLIVEでは「LOST IN Hollywood」の中間部にこの曲のgtとkeyのユニゾンプレイが挿入されていました。