nijiken

ロックバンドRainbowを研究するブログとしてスタートしましたが、幅広い話題を取り上げたいと考え、ブログタイトルを変更しました。

Ritchie Blackmore`s Rainbow アルバムレビュー

Ritchie Blackmore`s Rainbow

1975年8月発売

f:id:cozymoore:20190728221115j:image

Ronnie James Dio(vo) Ritchie Blackmore(gt)

Mickey Lee Soule(key)

Craig Gruber(b)

Gary Doriscoll(ds)

Produced By Ritchie Blackmore,Martin Birch,Ronnie James Dio

 

1.Man On The Silver Mountain
2.Self Portrait
3.Black Sheep Of The Family
4.Catch The Rainbow
5.Snake Charmer
6.The Temple Of The King
7.If You Don`t Like Rock`n Roll
8.Sixteen Century Gleensleeves
9.Still I`m Sad

 

記念すべきファーストアルバムですが、実質的にはリッチーのソロ、もしくはエルフにリッチーが参加したアルバムと考えたほうが良いのかも知れません。
当初、リッチーはエルフのメンバーの実力を買っていたとの事で、決してロニーだけが欲しかったわけではなかったそうです。実際、なかなか実力派ミュージシャンが揃っていたようです。

今になって聴いてみると、ベースのクレイグ・グルーバーのスイングしたプレイにより、RAINBOWのアルバム中随一のグルーヴ感がある演奏となっております。
曲のバリエーションも全作品中1番バラエティーに富んでいおり、3,6,7などはリッチーらしくない曲かもしれません。これはエルフのメンバーに歩み寄った結果かと思われます。
ただ、全体的に楽曲のクオリティは高く、その後の完成したRAINBOW像にこだわらなければ充分楽しめるアルバムです。


1.Man On The Silver Mountain
ジョン・ボーナムが大変気に入っていたという曲です。もし、ジョン・ボーナムが健在だったらリッチーとの共演が実現していたかも知れない、というかなわぬ夢を見てしまいます。リフは典型的4度パターンで、フランジャー効果が雪山をイメージさせています。
ギターソロは第三期Deep Purpleに共通した構成で、フレーズも素晴らしく名演のひとつでしょう。
スタジオバージョンはこの時のリズム隊の特徴であるのですがスイング感が感じられます。後年のライブではコージー得意の縦ノリとは一線を画しており、まるで別の曲のようですね。
●ロニー・バージョン
この曲の前には、「Lazy」をちょこっと演奏するのがパターンです。興が乗るとさらに長い遊びが繰り広げられます。
ギターソロはスライドの時もあります。
「On Stage」で確認できるように、曲の中間部で「Blues」や「Starstruck」が挿入される事もあります。
●グラハム・バージョン
基本的にはロニー時代と変わりありませんが、少し淡白なプレイが多かったような気がします。導入部は「Since You Been Gone」からのメドレーとなっています。中間部のギターソロのままエンディングとなるアレンジで、何だか「Smoke On The Water」を彷彿とさせる終わり方です。
●ジョー・バージョン
オリジナルよりも2音半低いDmでプレイされており、少し楽曲自体のイメージが変わってきています。しかし、ボーカリストのベストのパフォーマンスを引き出すにはやむを得ないところでしょうか。こういったリッチーの柔軟な姿勢は、あまり知られていない部分だと思います。
●ドゥギー・バージョン
ドゥギーはともかくオリジナルキーで歌いこなしています。ドゥギーはジョーの事をあまり評価していないような事を言っていましたが、こういった部分を指した発言だったのかもしれません。
この頃の演奏はエンディング前で、ブレイクが入るアレンジとなっており、中々格好良いです。
●(おまけ)キャンディス・バージョン
Blackmore`s Nightでもエレクトリック・サイドでこの曲を演奏してました。
キーはAmのようです。抑揚少なくとりあえず歌ってみましたという感じの内容です。

2.Self Portrait
Cream風のヘビーなリフと重いドラムで始まるこの曲はBlackmore`s Nightでセルフ・カバーされています。ロニーらしいメロディの佳曲。ギターソロもメロディアスな好演です。
1975年にSetに入っていた時期がありますがすぐに外されています。

3.Black Sheep Of The Family
パープル脱退のきっかけになったと言われる曲で、以前リッチーがレコーディングに参加したと言われていたクオーターマスに収録されていました。(リッチーは参加を否定)当初シングル発売する予定だったとの事ですが、実際には発売されていません。ここではエルフのメンバーが生き生きとプレイしており、なかなか良い出来だと思います。
最初、リッチーはパープルでこの曲をやりたいと思ったそうですが、他のメンバーの抵抗にあい、実現しなかったと語っています。2019年に再レコーディングされています。

4.Catch The Rainbow
Rainbowのスタンダード・ナンバーは、ジミヘンの「リトル・ウイング」を意識して作られたとの事。ジミヘン風のバッキングは聞き物です。この曲ではフェイザーが必要不可欠です。Liveバージョン
ステージでは20分を超える熱演が当たり前だったこの曲。ヴォーカリストが代わっても構成・アレンジは殆ど変化がなかった珍しい曲です。
●ロニー・バージョン
導入部、もしくは中間部にバッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻~第1曲プレリュード」「カンタータ第147番よりコラール”主よ、人の望みの喜びよ”」「グリーンスリーヴス」が挿入されていました。
ともかくこの曲はギターソロが圧巻で、超ロングソロでありながら一瞬もだれる事が無い名演がたくさん残されています。
コージーのドラムも素晴らしく楽曲にマッチしており、リッチーの細かいフレーズを良く聴いてシンクロさせる呼吸は芸術的ですらあります。「コージーはメロディが好きで良く歌っていた」というリッチーの発言に思わず納得してしまいます。
ちなみに1975年のバージョンでは、途中のブレイクがなくロニーのボーカルが多めにフィーチュアされています。
●グラハム・バージョン
こういったソフトなナンバーになると、グラハムの声はとてもセクシーに響いてきます。
個人的には、ハードなナンバーでの歌唱より、こうした曲の方が彼の魅力を感じられると思うのですが。
基本的にはロニー時代とほぼ同じアレンジですが、リッチーのギターはさらにメロディアスになっていた印象があります。
●ジョー・バージョン
81年での演奏はそれまでを踏襲したロングバージョンでしたが、83年~84年にはたまにしか演奏されなくなり、84年の最終公演では後半のギターソロを省略されていました。

5.Snake Charmer
この曲でははじけるように弾きまくっているギターソロが最大の聴きどころです。
ブルース的フレーズとリッチーらしいスリリングな速弾きが見事に調和しております。
そしてもうひとつのポイントはクレイグ・グルーバーのベースで、後のベーシストと一線を画すしっかりしたプレイを聴かせます。
曲調的には、第三期Deep Purpleを彷彿させます。

6.The Temple Of The King
「健康のためのヨガ」というTV番組からインスパイアされて作られた曲との事です。
長年、Liveでは未演奏でしたが、ドゥギー時代になって初めて演奏されました。
それまで、なぜ演奏しなかったかについて、リッチーは「ハーモニーが複雑すぎる」と語っています。実際にはそこまで難しいとは思えないハーモニーではありますが、当時の歌えるベーシスト グレッグ・スミスの存在がなければこの曲の採用はなかったのかもしれません。Blackmore`s Night時代もプレイされており、アコースティックによる演奏がぴったりはまっております。ただハーモニーは無く、キャンディスの独唱となっていたのはちょっと寂しさを感じます。

7.If You Don`t Like Rock`n Roll
 ミッキー・リー・ソウルがメインの曲で、リッチーはバッキングに徹しております。ロード・サッチ時代やパープル時代の「Lucille」のようにすごく抑制が効いたプレイです。

8.Sixteen Century Gleensleeves
「Black Sheep Of The Family」のB面として製作され、あまりの出来のよさに驚いたリッチーがアルバム製作を決意したといわれる一曲。
リフで4分の6の変拍子が使われており一味違った雰囲気を出すのに成功しています。
ギターソロはリズム的に破綻しそうでしない、後期にも通じるノリを感じさせるものになっていて、とてもスリリングな出来です。
Blackmore`s NightのLiveでも演奏されており、この曲のメロディーの良さが再認識されました。

9.Still I`m Sad
ゲイリー・ドリスコールのカウ・ベルが印象的なナンバーです。
ヤードバーズのオリジナルとは全く異なるHRなアレンジでLiveでの定番曲です。ギターソロ後のブレイクが決まっている「On Stage」バージョンが至高です。