nijiken

ロックバンドRainbowを研究するブログとしてスタートしましたが、幅広い話題を取り上げたいと考え、ブログタイトルを変更しました。

LONG LIVE ROCK’N’ROLL アルバムレビュー

LONG LIVE ROCK’N’ROLL
1978年5月発売

f:id:cozymoore:20190726175511j:image
Ronnie Jame Dio(vo) RitchieBlackmore(gt)

David Stone(key) Bob Daisley(b)

Cozy Powell(ds)

Produced By Martin Birch

 

1.Long Live Rock` Roll
2.Lady Of The Lake
3.L.A Connection
4.Gates Of Babylon
5.Kill The King
6.The Shed(Subtle)
7.Sensitive To Light
8.Rainbow Eyes

アメリカ市場を意識して作られた事で有名なこのアルバム。楽曲のコンパクト化とコマーシャルな方向性でアメリカでの評価を獲得しようとしたと言われていますが、現実にはほとんど相手にされず終わっています。当時のローリング・ストーン誌で、「Rising」とこのアルバムは「退屈な曲にさらに退屈なギターソロが長々と展開されるアルバム」と酷評されています。
日本でも、様式美とアメリカを意識した曲が混在し中途半端な作品との評価が一般的です。
しかし今先入観なしに聴いてみると前2作と全く変わらない路線のアルバムと感じます。曲がコンパクトなのはファーストアルバムもそうでしたし、「Rising」もA面にあたる1〜4も方向性は同じです。
ここで思い出すのが、アルバム発表前にコージーが語った、「今度のアルバムはLED ZEPPELIN天国の階段みたいな仕上がりにしたい」との一言です。
この言葉から推測すれば、彼らはアメリカで最も成功したブリッティッシュHRバンドであるZeppelinをお手本としてアメリカ侵攻を狙ったのではないでしょうか?
実際、このアルバムあたりから、リッチーのリフはペイジ風の単音リフが多くなっているような気がします。(私の妄想かな?)
また、ギターソロにスライド奏法がやけに目立ちます。メロディー重視の考えが強かったという事かな、と思います。

1.Long Live Rock` Roll
Rainbow におけるシャッフルの最高傑作でしょう(4曲しかないけど...)。
コージーはシャッフルの曲で名演を残していますが(MSG「Looking For Love」、ゲイリー・ムーアとの「Killer」等)ここでのプレイも最高です。
キーはGマイナーでありながら3度の音(Bフラット)6度の音(Eフラット)を使わない調性があいまいなRainbowらしい楽曲です。
この曲ではリッチーがベースを弾いていると言われています。
1977年から、Stargazerの代わりに演奏されるようになったこの曲は、歴代ボーカリストごとのカラーが色濃く出ており、聞き比べると非常に面白いです。
●ロニー・バージョン
イントロは「Black Night」風アレンジで始まります。演奏自体はスタジオバージョンに準じますが、中間部でブレイクして、ロニーと観衆との間で、非常にノーマルな掛け合いが繰り広げられます
●グラハム・バージョン
この頃は、アンコールで演奏されており、一回目は「All Night Long~Will You Still Love Me Tommorow」の後に、二回目はギター壊しの後に、締めの形で挿入されます。
一回目はAメロから演りますが、ニ回目はサビだけです。
●ジョー・バージョン
オリジナルはGmのこの曲ですが、ジョーには厳しいキーだったようで、Emに変えて演奏されています。(ただし、エンディング手前でGmに転調するのが粋です。)この結果、「Black Night」と同キーとなり、元々リズムやテンポがそっくりな為か、ジョー・リン在籍時のパープルにおいて「Black Night」中でこの曲を挿入するようになりました。
この頃は本編ラストやアンコールのラストにフル・バージョンで演奏されており、中間部の掛け合いも、ほとんどロニー・バージョンと同じ内容で行われています。(ジョー独自の部分もあり、また途中で「Hey Joe」を演奏する日もありました。)
●ドゥギー・バージョン
キーはジョー時代と同じくEmです。この頃はパープルの逆をやっていて、この曲の中間部に「Black Night」を演奏していました。
ドゥギーの持ち味は中間部のアドリブに集約されており、スコットランド民謡をそのご当地に合わせた歌詞で歌うといった事をやっています。リッチーもこの才能に一目おいていたようです。

2.Lady of the Lake
Rainbow ファンには有名な隠れ名曲です。哀愁に満ちたメロディーをロニーが見事に謳いあげています。
リッチーのソロはスライドですが、非常にメロディアスで感動的なフレーズを聞かせてくれます。このアルバムはスライドによるソロが非常に多いのですが、前作までのプレイに比べ、かなり滑らかなプレイになっているように感じます。
この曲もベースはリッチーとの事。

3.L.A Connection
ヘヴィーなバックにのせて分かりやすいリフレインをロニーが繰り返す作品。強いていえ
ばこの曲がアメリカを意識した結果という事になるでしょう。しかし、後期Rainbowの方法論とは異なり、ポップへの歩み寄りを見せてはいません。充分なくらいHRしてます。
この曲もリッチーがベースも弾いているそうです。

4.Gates Of Babylon
リッチーによればチェロで8ヶ月かけて書いた曲だそうです。
この曲はなんと言ってもギターソロに尽きるでしょう。ソロ前半はフリージアン一発ですが、後半部はイングヴェイやウリの得意技、コード・システムでのプレイを完璧に決めています。しかもフレージングは奇跡的なくらいメロディアスでなおかつ起承転結もはっきりしています。
リッチーのソロで仕上げるには最も難度が高かったソロではないでしょうか。
弟子の2人もテクニックでは師匠を追い抜いてますが、音楽的にはこのプレイをいまだ超えていないと個人的には信じています。

5.Kill The King
言うまでも無い超有名曲であり、様式美HRのバイブルです。
3連のギターリフに嵐のようなギターソロ、この曲がなければ多くの様式美バンドの存在は無かったかもしれません。
逆にあまりに模倣されすぎた為、Rainbow自体がオリジナリティがなくレベルが低いと一部の評論家(特にZEP好きな人)に不当に蔑まれる結果を招きましたが、まったくお門違いな話です。
様式美HRの始まりはRainbow が作った!
1976年からオープニング・ナンバーとして採用、以降ロニー時代終焉と同時に、正式なSetからはずされてしまいました。
1979年からはギター・クラッシュの時、歌抜きバージョンで演奏されるようになっております。
●ロニーバージョン
スタジオ盤では3連アルペジオが曲の幕開けですが、Liveでは「Highway Star」を彷彿とさせるギター6弦によるルート音プレイから始まります。さらにベースが1976年とそれ以降で異なっており、ボブ・デイズリーが加わってからは例のベースラインが下がっていくパターンに変化しています。
その他はほぼスタジオ盤に忠実な演奏ですが、ここでは逆に忠実である事が凄い事ですね。
●それ以降
ギター・クラッシュの行われる時は、この曲が必ずバックをつとめました。
構成は、Gmのワンコードをバックにリッチー弾きまくり→3連アルペジオから転調→原曲のソロ部分のバッキングでトリッキープレイ&ギター・クラッシュとなっております。
正直、3連アルペジオが出てこないと何の曲かわかりません。

6.The Shed(Subtle)
フランジャーが掛かったギターソロがフィーチュアされた作品です。ファンには堪らない展開ですが、一般的にはちょっと厳しかったも知れません。(こういう部分がローリング・ストーン誌の酷評につながったのかも)
なぜかL.A Connectionにテンポも曲もそっくりです。
ベースはリッチーという記述を見かけますが、どう考えてもこの曲は本職のプレイです。多分ボブ・デイズリーのプレイでしょう。

7.Sensitive To Light
この曲のリフはパープルの「Lady Double Dealer」に似ています。ギターソロはやっぱりスライドです。
ここでのベースはリッチーが弾いていると思われます。

8.Rainbow Eyes
名曲になりうる素質をもった曲だと思います。リッチーのバラードはあっさりした展開のものが多く、ここであと一押しがあれば「天国の階段」になれたのにという曲がいくつかあります。非常に残念です。
ちなみにギターソロもあっさり系。
新生Rainbow でドゥギーが良く歌ってましたが、オーディションの時この曲を歌った彼に対し、リッチーは「その曲は知らない」と言ったそうです。