5.ロックへのクラシックの引用
15歳の時にネロ&グラディエイターズのライブを見に行った時、グリーグの「山の魔王の宮殿にて」をロックアレンジで演奏していたのに感銘を受けたことが原体験となり、その後のリッチー・ブラックモアのステージでは「山の魔王の宮殿にて」を含め、必ずクラシックの引用がされるようになった。ジョン・ロードやイングヴェイ・マルムスティーンらのオーケストラとの共演のように真剣にクラシックに取り組んだ本格的ではなく、あくまでもロック的アプローチの中でのクラシック好きであることがポイント。そのものズバリの「Hall Of Mountain King」や「Difficult To Cure」等、アルバムの楽曲になったものはその好例である。
5.ステージアクション
当時速弾きでは一目置かれていたリッチー・ブラックモアだが、元々シャイな性格でステージでも大人しくギターを弾いていた。それを変えるきっかけになったのはスクリーミング・ロード・サッチ&サヴェージズへ加入したことである。当時のイギリスで最もビジュアルにこだわっていたバンドでは、リッチーも大人しくしていることは許されず、ステージを右に左に走り回らなければならなかった。ロード・サッチはボーカルの実力はともかく、最高のショーマンであり音楽の知識も豊富だった。リッチーも「(サッチには)ショーマンシップについてたっぷりと教えてもらった。」と語っている。
ただ、当時を知る者の証言ではリッチーのステージアクションはモノマネではない彼独自のものであったらしい。ロード・サッチはリッチー・ブラックモアのリミッターを外し、本来彼が持っているものを表現できるように手助けしたと考えるのが正しいのかもしれない。
6.アーミング
リッチー・ブラックモアのアーミングはスタジオ盤「Black Night」でのプレイが代表作。これは最高に素晴らしいものである。
そのプレイは、ジミ・ヘンドリックスの影響を強く感じるもので、ラフ&トリッキーな使い方に徹している。特にステージにおけるロング・ソロパートでのプレイはそっくりだと感じる。
リッチーのストラトキャスターにはチューニング・ロック・システムは付いていないにもかかわらず、アーム・アップが可能なようにフローティングされていた。普通のストラトキャスターでこれをやると、かなりの確率でチューニングが狂うはずだが流石はプロの仕事、ほとんど狂うことのない調整となっている。(ジミ・ヘンドリックスの場合だと激しいアーミングを行った後は激しくチューニングが狂うのだが、それ自体がストーリー性を持ったりするのが音楽の面白いところ)
近年ではアーミングを封印しており、最初からアーム自体を取り付けていないのは寂しい限り。